2017年10月2日(月)
第341回高知県議会 平成29年度9月定例会一般質問(一問一答方式)

県議会のホームページで、議会の録画がご覧になれます(別窓で開きます)


1 仁淀川流域について 
 (1) 仁淀川流域の産業振興の取り組みについて(知 事)
 (2) 仁淀川をテーマとした博覧会の開催について(知 事)
 (3) 国道33号の雨量による通行規制の早期解消について(土木部長)
 (4) 県道伊野仁淀線の整備について(土木部長)
 (5) 柳瀬川の河川改修工事について(土木部長)

2 障害者福祉について
 (1) 重症心身障害児数の実態把握の状況について(地域福祉部長)
 (2) 障害児福祉計画の策定状況について(地域福祉部長)
 (3) 重症心身障害児支援事業所について(地域福祉部長)
 (4) 手話言語条例の制定の取り組みについて(地域福祉部長)
 (5) 低床バスの導入状況と導入支援について(中山間振興・交通部長)
 (6) バス停留所のバリアフリー化について(中山間振興・交通部長)

3 教育行政について(教育長)
 (1) 県青少年保護育成条例の改正に伴うPTA等が実施する対策について
 (2) 子どもの達のインターネットの適切な利用について 

 
1 仁淀川流域について 
 
■大野たつや 
会派 県民の会では、この7月に、仁淀川流域の吾川郡仁淀川町、高岡郡越知町、佐川町、日高村の高吾北地域4町村にお伺いさせていただき、少子高齢化が進む中山間地域において頑張られている、地域住民や行政、団体などの取り組みや活動を、視察・調査させていただきました。
仁淀川町では、官民あげて林地の集約化に取り組み、若手林業者や研修生の受け入れなどにより、結果を出し始めている、同町の林業振興の取りくみなどについて、大石仁淀川町長自ら、ご説明を賜り勉強をさせていただきました。
佐川町においては、「NPO法人佐川くろがねの会」のボランティアガイドにより「さかわ観光協会」、「青山文庫」など、歴史や街並みを生かした観光振興の取り組みを視察させていただき、開設されたばかりの「集落活動センターくろいわ」においては、地域住民との懇談、意見交換もさせていただきました。
越知町では、横倉山自然の森博物館において、移住して農業や民泊を営む若者や、狩猟など鳥獣対策にも積極的な活動をされている、女性の地域おこし協力隊員さんなど、越知町を中心に頑張られている、若者の皆さんと懇談、意見交換をさせていただき、若者目線で様々なご意見をお伺いさせていただくことができました。
また、越知町においては、役場企画課のご協力もいただき、整備が進む観光拠点キャンプ場の現場の視察や、農産品の加工販売で成果を上げている会社の社長さんからのお話も聞かせていただくこともできました。
日高村では、役場産業環境課にご協力をいただき、オムライス街道などで成果を上げている、トマト産地化の取り組みを中心に、トマト団地や村の駅ひだかなどの現場も視察させていただきました。
どの町村においても大変ご多用の中、視察・調査に、丁寧な対応、ご協力をいただきました。
この場をお借りしまして、皆様に心から御礼を申しあげさせていただきたいと思います。
高吾北、仁淀川流域では、どの町村においても、官民をあげて地域特性を生かした、様々な地域振興策の取り組みが進められており、地域住民や自治体の頑張りはもちろんですが、様々な場面、場面において、県のサポートが見受けられ、産業振興計画による地産外商や、幕末維新博など、観光振興策の効果による、地域経済の活性化が進んでいることを実感することもできました。
そうした、仁淀川流域における、産業振興計画の地域アクションプランなどの取り組みについて、尾崎知事の目にはどのように映っておられるか、ご所見をお伺いしたいと思います。


●尾ア正直知事
この仁淀川地域においては、例えば、次世代型ハウスが普及をしたり、また、CLTパネル用のラミナ工場の整備がされたりといった農林水産業の取り組みが行われたり、また、観光面では、仁淀ブルー観光協議会が設立をされてこの仁淀川を観光に生かしていこうという取り組みが進んだり、さらには、地域の加工品づくりなどの地域アクションプランの取り組みも30を超えるアクションプランの展開が図られ、そして、5つの地域産業クラスタの取り組みも行われているというところでありまして、この仁淀川の恵みを生かしてさまざまに活発な取り組みが展開されておると、そのように考えておるところでありまして、ほんとに、地元の皆々様方に大変、県も御指導いただいておると、そういう状況であります。
そういう中で、この地域アクションプラン、この仁淀川流域の地域アクションプランだけで見ても、この8年間で253人の雇用が生まれているという状況でありますから、一定方向性として素晴らしい成果を上げておられるものと、そのように考えております。
県としましては、より一層、これだけのとてつもないポテンシャルを持っておられる地域でありますから、より一層の地産外商が進んで、観光振興が進み、そして先ほど来の御議論にもありますように、若者がより地域地域で住み続けられる状況になりますように、より一層の努力をしなければならなんと考えています。そういう点におきまして、今後大変楽しみなプロジェクトが、この仁淀川流域では展開をされていくことになります。いわゆる、新たなアウトドア拠点でありますとか、さらには、農産物の大規模な加工施設の整備とか、こういうことも進められているところでありまして、これもう一段、飛躍に向けた展望が開ける、そういうところではないのかなと、そのように考えております。


■大野たつや
その高吾北地域において、この夏に素晴らしいニュースがありました。
鹿児島県で開催された、全国中学校男子ソフトボール大会において、佐川町の尾川中学校、黒岩中学校の合同チームが、同じ高吾北地域の仁淀川町の池川中学校、仁淀中学校の合同チームと、県勢同士による決勝戦を行い、両チーム互角の大接戦の末、尾川中黒岩中合同チームが勝利を収め、見事全国の頂点に輝きました。決勝を戦った4中学は、共に切磋琢磨してきた、同じ仁淀川流域の山間にある小規模校で、一緒に練習することさえもが困難な中、様々なハンデキャップを乗り越え、全国の1位、2位という素晴らしい成績を残されました。
このことは、過疎高齢化が進む、地域の方々に夢と希望を与えるもので、監督さんをはじめ、学校関係者、送迎や食事など献身的なサポートされた親御さん、地域の皆様、そして何よりも様々なハンデがある中で、厳しい練習に耐え、最高の結果を出された、生徒・選手の皆さんに、心からお喜びと感謝を申し上げたいと思います。
中学生のソフトボールの結果もそうですが、仁淀川流域には真面目にコツコツ地道に努力されて、全国に負けない、素晴らしい物を作り上げる潜在的な力がある様に思います。
手すき和紙や神楽などの伝統文化、お茶、梨、しょうが、トマトなど、おいしくて、こだわりのある食材、そして何より、仁淀ブルーと言う言葉、カラーがブームにもなった、清流仁淀川は、美しい景観と水質から日本一の川となっています。
人材面でも金子直吉や牧野富太郎先生といった、日本を代表する歴史的な偉人を多く輩出されているだけでなく、先般のゴルフ日本ツアーで優勝された、片岡大育選手や、声優界のカリスマと言われる小野大輔さんら、今現在、様々な舞台でトップを張られている人材も多くおられます。
知事からの提案説明の中で、ポスト幕末維新博の取り組みとして、本県の強みである、自然と各種のアクティビティを生かした観光振興を進めていくことも一案ではないかとの提案もありました。
また、地域の特性を生かした博覧会の開催にも言及されておられましたが、水質日本一の奇跡の清流仁淀川を有し、地域の連携や絆も強く、観光拠点キャンプ場、釣りやカヌー、ラフティングなど、自然体験型のスポーツも豊富であり、こだわりの食材、さらに伝統や歴史資源もあると、まさに仁淀川流域は、人と自然、食、歴史、スポーツが一体となった本県最強のフィールドだと言えると思いますが、ポスト幕末維新博の観光振興の取り組みの一つとして、仁淀川流域、仁淀川をテーマとした博覧会の開催の検討について、尾崎知事のご所見をお伺いしたいと思います。


●尾ア正直知事
仁淀川流域については、先ほどとも重複いたしますけれども、大変美しい自然と、さらには、さまざまな形での食の資源、そして、自然の資源、そして、歴史の資源、それぞれがあるわけであります。そういう中において、例えば、アウトドア拠点がこれから整備されようとするなど、自然面、スポーツ面、アクティビティの面において、さらに伸びていこうとされている。そういう状況だろうとそのように考えているところです。ポスト維新博、この検討をさらに深めていかなければなりませんけれども、いかにこの自然とか、スポーツとか、アクティビティとか、こういうものを伸ばしていく方向で展開をしていくということになりますれば、この仁淀川地域というのは大変魅力的な、中心的なエリアの1つとなるということはもう間違いのないことだろうと、そのように思います。地域博覧会を展開されていこうとされるというという中において、ぜひ県全体の取り組みと整合性がとれると、そういう形になっていくことができれば、いいのだろうなとそういう思っているところであります。
いずれにしても、ポスト博の維新博の議論、これから深めていかなければならないところでありますので、地元の皆々様方でも、またさまざまに意見交換もさせていただければと考えております。


■大野たつや
仁淀川流域は、昔からアピール下手で、遠慮がちなところもございます。仁淀川を生かした博覧会の開催を、一住民として、夢み、期待もしたいとも思いますが、産業や観光など、仁淀川流域の振興に、今後とも県の強力なご支援を賜りますようどうかよろしくお願いいたします。
高吾北地域住民の皆様とお話をさせていただく中においては、地域内の様々なインフラ整備の遅れを指摘される声も聞かれました。県都高知市と高吾北地域を結ぶ国道33号は、通勤、通学、通院、流通など、高吾北地域住民の重要な基幹道路として、まさに命の道とも言える大動脈となっていますが、慢性的な交通渋滞や、雨量による通行規制など、潜在的な課題があることはご承知のとおりでございます。特に近年、集中豪雨が多く発生するようになり、併せて雨量による通行規制の回数も多くなり、日常生活への影響が深刻となっています。
国道33号の雨量による通行規制の早期解消への取り組みについて、福田土木部長にお伺いしたいと思います。


●福田敬大土木部長
国道33号の越知町横倉から県境までの区間につきましては、大雨などの異常気象時に全面通行どめとなります事前通行規制区間に指定をされております。国土交通省では、この規制区間の短縮に向け、越知道路の橋梁工事や平成30年度に供用が予定されております橘防災のトンネル工事など、着実に整備を進めていただいているところでございます。国道33号については、沿線住民の皆様にとって日常生活や産業振興を支える唯一の幹線道路であることから、引き続き整備促進を国に働きかけてまいります。


■大野たつや
その国道33号と194号を結ぶ、仁淀川沿いを走る県道伊野仁淀線は、現在整備が進む観光キャンプ場拠点へのアクセス道ともなる重要路線ですが、ところどころで道幅が狭く、観光バスの乗り入れや、車両のすれ違いが困難な箇所も多くあることから、今後多くの観光客の訪れが予想される中、地域住民から不安の声が聞かれています。
観光拠点キャンプ場整備に併せ、早期に改良が望まれる県道伊野仁淀線の整備について、福田土木部長にお伺いしたいと思います。


●福田敬大土木部長
県道伊野仁淀線の国道33号から国道194号に至る区間は、幹線道路としての役割に加えまして、仁淀川流域の観光振興を支える役割も担う重要な路線と認識をしており、これまでも道路改良を進めてきました。また、先月、改正いたしました高知県社会資本整備推進本部会議におきまして、越知町が整備を進めておられますキャンプ場へのアクセス向上に対するニーズが報告され、関係部局間で共有をしたところでございます。ここの未整備区間については、急峻な地形もあり、拡幅が難しい区間もあるため、道路構造につきまして慎重な検討を行い、先ほどのニーズも踏まえ、早期整備に向けて取り組んでまいりたいと考えます。


■大野たつや
国道33号については、先の台風18号時にも、通行が規制され、多くの住民生活や流通に影響があったことも申し添えさせていただきたいと思います。県道伊野仁淀線の早期改良とも併せて、今後の整備のスピードアップをお願いしたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。
佐川町黒岩地域の住民の皆さんとの懇談では、佐川町から越知町の仁淀川本流へ流れ込む柳瀬川が、大雨により度々氾濫し、地域の一部が水没したり、道路が寸断されるなど、地域住民の生活への影響や、農作物の甚大な被害の発生など、深刻な状況があることをお伺いしました。
同地域は、梨やしょうがなど、本県を代表する優良農作物の生産地でもあり、近年農業を営む若者も増えてきています。柳瀬川の改修による、安心な生活の実現は、長く住民の悲願となっており、越知・佐川両町の地域住民で組織する「仁淀川中流域 水害対策推進 住民会議」において、県や地元自治体らに対する要望などの活動を行ってきています。
そうした活動を受け、地元自治体の佐川町や越知町も、県への要望などを重ねてこられ、佐川町議会では、先の9月議会において、柳瀬川に関する早期改修の要望意見書も可決されています。
そうした取り組みが行われているにも関わらず、柳瀬川の河川改修は、残念ながら大きく前に進んでいる状況にはない様に思われます。柳瀬川の河川改修工事の現状と、今後の進捗について、福田土木部長にお伺いしたいと思います。


●福田敬大土木部長
柳瀬川は、昭和53年度に越知町柴尾地区の仁淀川合流地点から佐川町の庄田地区までの約6キロメートルの整備に着手をしております。上流の庄田地区において約1.4キロメートルの護岸整備などを完了いたしましたが、それより下流の区間においては、地元において事業への理解が得られず、平成17年度に事業を休止した経緯がございます。
しかしながら、浸水被害の発生や、地域住民会議、佐川町、越知町からの熱心な御要望をいただきまして、平成26年度から事業に再度着手したところでございます。これまでに当初予算に加え補正予算も活用しながら、測量設計を始め地質や用地などの各種調査を進めており、平成31年度に下流の柴尾地区から用地買収に着手したいと考えております。事業を円滑に進めるためには、これまでの経緯を考慮いたしますと、地元の皆様方の事業への理解をいただくということが重要であり、佐川町、越知町の協力も必要不可欠でございます。さらに、河川の拡幅工事より、大量の残土の発生が見込まれることから、その処分場の確保も必要となります。引き続き、両町と協力連携し、事業を推進してまいります。


■大野たつや
黒岩地域では、先の台風18号においても、学校など地域の一部や道路、農地が冠水するなどし、住民は不安な一夜を過ごしたとのことであります。完成時期を明記していただくなど、できる限り地域住民の皆さんに、安心していただけるような対応をお願いしておきたいと思います。
インフラ整備に関しては、越知町の若者との懇談においても、山間地域で生活していくために、インターネット環境の整備を早期にお願いしたいと、切実な訴えもお伺いました。
山間地域ではインターネットが繋がっても、速度の遅さなど現在の情報量に追いついていない状況もあり、超高速ブロードバンドなど情報基盤の早期整備は、移住促進、定住対策としても、大変重要なインフラでもあります。特に中山間地域の光ファイバーの未整備市町村などに対する、早期の支援をお願いしておきたいと思います。

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2 障害者福祉について
■大野たつや
次に、障害児(者)福祉について質問させていただきます。
2014年に国連の障害者権利条約を批准し、障害者差別解消法ができ、さらに児童福祉法の改正などにより、いわゆる医療的ケアが必要な子どもに対する支援が明文化されています。
また、昨年5月に成立した、障害者総合支援法及び児童福祉法の改正により、これまでの障害者福祉計画の策定に加えて、新たに地方公共団体、自治体において、障害児 福祉計画の策定が義務化されております。
障害児 福祉計画の策定にあたっては、地域にどれだけの障害児が暮らして、その家庭、家族にどんなニーズがあるのか、自治体、行政が、それらをしっかり把握して、必要な施策を行う必要があると思いますが、本県における重症心身障害児の人数、ご家族に対するニーズ調査などによる実態把握の状況について、門田地域福祉部長にお伺いいたします。


●門田純一地域福祉部長
障害者手帳を所持しています重度の知的障害と重度の肢体不自由が重複している、いわゆる、重症心身障害児は9月末日時点で110人となっています。昨年度、重度の障害があるが方の状態や御本人を取り巻く状況を記載いたしましたアセスメントシートを保護者の同意のもとに市町村を通じて提出いただき、医療的ケアや介護の状況、利用している福祉サービス、将来のニーズなどを把握したところでございます。この調査からも、子どもが小さい時期には医療的ケアを受けながら、在宅での生活を維持していきたいというニーズが高く、子どもが成長するに従って、このことは保護者の高齢化でもございますけれども、先々の不安などから施設入所へのニーズが高まってくるということなどがわかっています。
今年度は、重症心身障害児には該当しないものの、医療的ケアが必要な子供に調査の範囲を広げ、実態の把握に努めていくこととしております。


■大野たつや
子どもは日々成長していきます、赤ちゃんの時には出来ていた身体介護が、体が大きくなるにつれて、お母さんなど介護者一人では、できなくなってくることもあります。
また、障害の特性だけでなく、就学や施設入所時など、成長に応じた、時々のライフステージに応じた個別的支援も求められます。行政にとっては大変難しい判断を必要とする場合も多々あるかと思いますが、障害児福祉計画の策定にあたっては、机上でなく、ニーズがどういったところにあるのかを家族や親御さんなどから、しっかりと聞き取っていただくなど、
現場に寄り添った「障害児福祉計画の策定」が大切と考えますが、門田地域福祉部長にご所見をお伺いしたいと思います。


●門田純一地域福祉部長
県では、本年6月から8月にかけまして、全ての特別支援学校の在校生及び通所を含めました障害福祉サービスの利用者とその御家族へのアンケート調査を実施をいたしまして、生活の状況やサービスの利用状況、必要とする支援などをお聞きしました。このアンケート結果は、市町村に提供をしており、障害児福祉計画の策定の検討に活用いただいております。
 加えて、団体により方法は違いますが、戸別訪問での聞き取りや地域の実情に詳しい保健師からの情報収集などでより詳細な状況の把握に努めながら、各市町村において計画の策定が進んでいるところでございます。県といたしましても、障害のある方のライフステージに沿った切れ目のない支援ができるよう、市町村と連携して現場の実態を踏まえた計画を策定していきたいと考えております。


■大野たつや
先月高知市内に、新たに重症児デイサービスが開設されました。施設を開設されたのは、3人の子どもを育てるお母さんで、末娘さんに重複障害があり、日々の子育てや介護など、様々な経験、困難な生活を通じて、障害を持つ子ども達の居場所、24時間、育児や介護をされている親御さんの休息や、憩いの場、集う場所の必要性を強く感じ、そうした思いから、自らNPO法人を立ち上げ、多くの方からの温かい支援も受けながら、重度障害児を受け入れるデイサービス施設を開所され、現在子育てと施設の運営に奮闘されています。
厚生労働省は、2020年度末までに、重症心身障害児を支援する事業所を、各市町村に少なくとも1か所以上設置、確保することを基本目標としているとのことであります。
本県における重症児デイサービスは、現在8施設ということですが、本県の重症心身障害児支援事業所の現状と、課題、今後の整備について、門田地域福祉部長にお伺いしたいと思います。


●門田純一地域福祉部長
県内の在宅の重症心身障害児を主たる対象といたします通所支援につきましては、就学後の子供を対象とした放課後等デイサービスが、先ほど議員おっしゃったように8カ所、そのうち6カ所は就学前の子供を対象とする児童発達支援事業も実施をしているところです。事業所が県中央部に集まり、地域によってはサービスを利用できないという実態もあり、サービス量の全体をふやすことを含め、例えば、一般の児童発達支援事業所などに看護師などを配置して医療的ケアを可能とするなど、重症心身障害児の支援ができる事業所の拡大が必要だと考えております。
事業所の拡大には、専門人材の確保が必要でございますので、既に実施をいたしております訪問看護職員の養成のほか、児童発達支援事業所などの職員を対象にいたしました医療的ケアが必要な子供の支援に関する研修などに取り組んでまいります。
また、基本的には報酬を含めた国の制度によるところが大きゅうございますので、国に対して来年度からの報酬改定に向けて、医療的ケア児なども含め、重症心身障害児が必要とするサービスの量を確保するための適正な報酬改定を行い、サービス産業を促進するよう中四国9県で提案をしているところでございます。加えて、事業所への技術支援を行う訪問看護職員の派遣への支援など、県として何ができるかも検討いたしまして、少しでも保護者の皆さんが安心できる支援体制づくりに努めてまいります。


■大野たつや
全国的にも、障害児を育て介護する親御さんが、自ら施設を立ち上げるケースが増えています。が、裏を返せばそれだけ、施設が足りていない、行政の支援が行き届いてない、親御さんが追い詰められている証拠だと言えるかも知れません。
そうした親御さんの取り組みを単に美談で終わらせることなく、行政もしっかりとした対応、セーフティネットを作っていくことが求められていると思います。特に施設のない中山間地域における、施設の整備並びに運営支援の取り組みをお願いしておきたいと思います。


■大野たつや
次に手話言語条例についてお伺いします。
手話言語条例は、聴覚に障害をもたれている方が暮らしやすい社会となる環境をめざす取り組みとして、2013年に都道府県では初めて鳥取県が「手話言語条例」を制定され、本県においても、2016年に県内では初めて高知市が手話言語条例を制定。佐川町においても、先の9月議会において、県内で2番目に、手話言語の普及及び障害者のコミュニケーション手段の利用を促進する条例を、全会一致で制定されました。佐川町においては、聴覚に障害のある方をはじめ、多くの方々の長きにわたる努力により条例が制定されたもので、関係各位のご尽力に改めて敬意を表するものであります。高知県議会においても、平成26年の2月定例会において、当時の田村輝雄県議が手話言語条例について質問され、当時の井奥地域福祉部長さんより、聴覚障害者にとって、手話が必要不可欠なものであるとの認識を、県民の誰もが、等しくしっかりと共有することが重要である。との答弁がなされ、その後、平成28年には、手話言語法の制定を求める意見書が県議会において全会一致で可決されるなど、手話に対する理解や関心は高まりをみせていると理解しています。本県における手話言語条例の制定の取り組みについて、門田地域福祉部長のご所見をお伺いしたいと思います。


●門田純一地域福祉部長
障害者基本法では、意思の疎通や情報の取得、利用の手段について選択の機会の確保、拡大を図ることが求められていることなどからも、手話だけではなく、要約筆記や展示などの意思疎通手段にも配慮をする必要があると考えております。県といたしましては、障害者差別解消法の運用状況や国の動向を注視しながら、手話を含めた障害のある方の意思疎通支援の充実について条例の制定の必要性も含めて検討してまいります。
この検討とは別に、現在策定をしております第5期障害福祉計画へ聴覚に障害のある方への情報支援の充実のための事業を盛り込んだ上で、その取り組みをしっかりと進めてまいります。


■大野たつや
手話言語条例については、今後制定の研究、検討をお願いしておきたいと思います。


■大野たつや
次に車椅子利用者でも、乗降を容易とする、低床バスについてお伺いします。低床バスは、バリアフリーを目的として1997年に東京や大阪などの都市部で運行が始まり、2000年施行の交通バリアフリー法を経て、2006年施行の「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」いわゆる「バリアフリー新法」により整備目標が示され、本県においても、高知県ひとにやさしいまちづくり条例などにより、低床バスの導入が進んでいると理解していますが、本県における低床バスの導入状況と、導入支援について、樋口中山間振興・交通部長にお伺いしたいと思います。


●樋口毅彦中山間振興・交通部長
本県における低床バスの導入状況は、国土交通省の調査によりますと、平成27年度末で85台、率にして23.5%となっており、前年度と比較して、台数で3台、率にして0.8ポイント増加しております。
 低床バスの導入に対する支援策としましては、国庫補助路線を走行する車両の場合は国と県が2分の1ずつを補助する制度があり、その他の路線のみを走行する車両の場合は市町村と県が2分の1ずつを補助する制度がございます。これらの補助制度を活用した28年度の導入実績は、国庫補助路線で2社6台、その他の路線で1社1台の実績となっております。


■大野たつや
低床バスの導入は一定進んでいるとのことですが、利用者やバス事業者などから、バスの停留所に、段差や植え込みなどの障害物があり、車椅子での乗降がしづらい状況があるとの声も聞かれます。
利用者や事業者に対する調査をしていただいた上で、道路管理者に情報提供していただくなど、できる範囲で利用者目線にたった対応も必要と考えますが、車椅子でも利用しやすい、バス停留所のバリアフリー化について、樋口中山間振興・交通部長にお伺いしたいと思います。


●樋口毅彦中山間振興・交通部長
バスの停留所は、バス事業者が道路管理者の許可を得て、車道上または歩道上に設置しておりますことから、バス停留所、バス停周辺の段差や障害物などを取り除く場合には、バス事業者ではなく道路管理者による対応が必要となってまいります。お話のありましたように、利用者目線に立った対応は重要ですので、バス事業者を通じてバス停周辺のバリアフリーに関する改善の要望をお聞きし、要望があれば速やかに道路管理者に情報を提供してまいりたいと考えております。


■大野たつや
停留所のバリアフリー化は、決して立派な停留所を作っていただきたいというような話ではなく、車椅子でのバス乗車の邪魔になるような、段差など障害物を取り除くだけでも、十分利用しやすくなると思います。現場に寄り添った調査、支援をどうかよろしくお願いいたします。

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3 教育行政について
■大野たつや
最後に教育に関する質問をさせていただきたいと思います。
本定例会においては、子ども達のインターネットの適切な利用について、利用状況の把握、時間や場所の制限、フィルタリング機能の利活用など、保護者や学校など、関係機関の役割などの努力規定をもうけた、県青少年保護育成条例の一部改正案が提案されています。
昨年2月議会において、ネットいじめの課題について、取り上げさせていただきましたが、インターネットやスマートフォンの急速な普及により、青少年、子ども達を取り巻く環境は、劇的な変化をみせています。親の知らない間、目に見えない部分で、個別のやりとりや、一度に多くの人達とコミュニケーションが取れる状況、子ども達のそうした情報環境が当たり前となっています。また、インターネットの普及や利用率に併せて、いわゆるネットいじめも増加している状況となっています。インターネットやスマートフォンの利用は、子ども達の年齢や生活環境の違いなどの状況に応じて、柔軟に対応しなければならない難しさも、私自身子育てやPTA活動の中でも感じているところですが、県青少年保護育成条例の一部改正に伴って、学校、保護者などの行う、具体的な対策ついて、どのようなものを考えておられるのか、田村教育長にお伺いしたいと思います。


●田村壮児教育長
今回の青少年保護育成条例改正案では、お話にありましたように、保護者の責務として子供のインターネット利用制限や利用時間や場所の利用状況の把握などが明記をされております。また、学校や子供たちの育成に携わる関係者は、子供たちがインターネットを適切に活用する能力を習得することができるよう努めることも新たに盛り込まれておりまして、県教育委員会といたしましても、関係機関や民間団体等としっかり連携をして、条例の周知や保護者会の啓発、学校の取り組み強化を図っていきたいと考えております。具体的には、ネットいじめなど、児童生徒がインターネットの利用の危険性を理解をし、改善に向けて主体的に考える「高知家」児童会・生徒会サミットを10月に開催するとともに、このサミットをきっかけにネット問題への取り組みを県民運動に広げていくこと、そのほかにも、高知工科大学と県警との協働で教材の開発を行っていただき、学校での情報モラル教育に活用する、そういったこと、また、PTA研修や啓発パンフレットを通して、インターネットとの利用について保護者が子供に適切にアドバイスができたり、家庭でのルールづくりが進むように働きかけていくこと、こういったことに取り込もうとしております。


■大野たつや
スマートフォンやインターネットをあまりにも規制しすぎて、子ども達の自ら考える力が弱くなったり、対処や危機管理ができなくなっても困りますが、そうした意味からも、バランス感覚を持った対応が求められていると思います。現在、小学校や地域単位のPTAなどにおいて、利用時間の制限など、独自の取り決めをされているところもあると聞いておりますが、対応や取り組みに温度差が見られる状況もあるかと思います。子ども達のインターネットの適切な利用について、県教委として、対応指針をお示しするおつもりはないか、田村教育長にお伺いしたいと思います。


●田村壮児教育長
ことしの全国学力学修状況調査におきまして、携帯、スマートフォンの利用時間が一定以上長い児童生徒ほど、正答率が低いという結果となっているなど、ネットの適切な利用は学力に関しても重要だと考えておりますし、ネットの過度な利用による健康面への悪影響なども心配をされます。
こういったことから、お話にありましたような県全体として対応指針を示すことも考えられますけれども、先行して利用時間の制限などを示した他県の例では、個々の利用実態に違いがある中で一律に制限することに反発があったと聞いておりまして、また、外からの押しつけでは実効性が高まらないのではといった面もあるのではないかと思っております。
このため、ネットの適正利用については、利用する子供や保護者の自主的な取り組みを促すことを中心に進めていきたいと考えておりまして、先ほどもお話をしました「高知家」児童会・生徒会サミットやPTAの研修がそのきっかけとなるよう取り組んでまいりたいと思います。


■大野たつや
子ども達のインターネットやスマートフォンの利用について、指針のようなものを提言していただけると、現場としては大変ありがたく感じる部分もあります、今後ご検討をよろしくお願いいたします。
知事はじめ執行部の皆さまの丁寧かつ前向きな答弁、本当にありがとうございました。以上で私からの質問の一切を終わります。どうもありがとうございました。



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